オーヴェル・シュール・オワーズの休日






画家ゴッホについてどれくらいご存じですか?
弟に援助してもらって絵を描く貧乏画家。
美しい南フランス、アルルの町で情熱的な絵を描いた画家。
そして精神的病に悩まされ、自ら自分の耳を切り裂き、胸部をピストルで打ち抜いて自殺した画家。
ここオーヴェル・シュール・オワーズは、彼が最後の時を過ごし、そして自殺した場所です。
ジリジリと太陽が地面を焼くある暑い夏の日、突然のどかな田舎町にピストルの音が響き、
カラスや雀の群れが一瞬のうちに空へと飛び立っていきました。
自分の胸を打ち抜いた男は死にきれず、自ら歩いて下宿屋まで帰ってきます。
ゴッホが亡くなったのはそれから1日半後でした。


パリのサン・ラザール駅でオーヴェル・シュール・オワーズまでの切符を買おうと思ったら、
切符売り場の人が「お城には行くか?」と聞くの。
ガイドブックも持ってなくて、
向こうに何があるのかよくわかんなかったんで「行く」って答えたら、
往復切符とお城の入場がセットになった割引切符をくれた。ラッキ!
あとは乗り込むだけ・・・ところがっっ!急に雨がパラパラと!
今までずーっとお天気だっただけにショーック!!
傘を持ってない。でもちょっとしか降ってないし、買おうかどうしようかで悩んじゃったよ。
結局1本電車遅らせて傘を買いに行くことにしたの。
こういうのの運の悪さじゃ私はピカイチなんで、
なんとなくここで傘を買ったら向こうで降らなくて買わなかったら降りそうな気がしたのよね。
お守り代わりに買えばいいジャンって思って。
それなのに、なんということでしょう!雨云々より前にこんな大きな落とし穴が待っていようとは!!
なんと私は電車を間違って乗ってしまったのよ〜んっっ。
オーヴェル・シュール・オワーズに行くには
途中ポントワーズってとこで乗り換えなくちゃいけないんだけど、
どこまで行ってもポントワーズっていう駅がないっ!!
実はサン・ラザール駅からポントワーズまでの間に枝分かれしているところがあって、 ひとつ電車を遅らせたせいでなんと反対の方向に行く路線に乗ってしまったの。
でもそんなこと知らなかった私はもう何が何だかわかんなくって、
ほどんど「ここは何処っ?!」の世界・・。
駅員さんにポントワーズまでの行き方を聞いて、やっと自分が枝分かれした路線の反対の方に来ているということが解ったんだけどね。
それに気づくまでホント不安でしたよ。
ちなみに思ってた通り、オーヴェルで雨は降りませんでした。(笑)


駅に着いて小さな通りを歩いていくとすぐにラヴー亭というピンクの建物があります。 ここがゴッホが最後に下宿していたところ。
ずーっと崩壊寸前で放置されていたんだけれど、今は修復されて昔のままの姿になってます。
一階は当時のままレストランとして営業されていて、
上のゴッホが住んでいた下宿は博物館になってます。
入場料を払うと「ゴッホの家のパスポート」というガイドブックがもらえます。
ここのチケット売場では「ワッツ ユア カントリー?」なんて聞かれるかも。
別に国籍がどうという訳ではなくて、
この「パスポート」が各国の言葉で書かれた物を用意してるってだけなので、
「なんでそんなこと聞くの!?」って心配しないでね。
これにはラヴー亭の歴史とかくわしくかかれていて結構読み応えありますよ。
博物館といっても小さな建物ですから、一度に5人ずつしか入れません。
ゴッホの部屋とお隣のオランダ人画家のヒルシフの部屋。
それとスライドフィルムをみせてくれる小さな部屋。
ちいさな下宿をそのまま使っているからとてもこじんまりしてて安らぐ感じ。
上映されるフィルムはゴッホの絵と当時の写真とかを組み合わせていて、
ゴッホの言葉や手紙の一文などが画面の所々に出てきます。
この文章、フランス語と英語となぜか日本語なの・・。
最初はそれほど日本人が訪れるのかなあって思ったんだけど、
(多分それもあるんだろうけど)日本交流基金というところが協力をしているからみたい。

ラヴー亭を出て、すぐそばの小さな坂の小道を上がると観光案内所があって、 そこのおばさんが地図やら何やらいっぱいくれたの。
とっても親切だったわ。
それを持っていざ町の探索へ!!
私はヨーロッパの田舎って大好きなんだけど、ここはまたほんとにカワイイ町!! 一つずつお家を眺めているだけでもそれぞれきれいに花や雑貨で飾っていて、 町の人が家を大切にしているのがよく伝わってきました。
家並みに堪能しながらレリー城へ。
チケット買ったから行かなきゃね。でもここのお城、想像してたような感じではなくて・・。
というのも外観を眺める場所がないの。なのに内装はすっかり印象派博物館に改造されてるのね。
お城だかなんだかわかんない感じでした。
中は印象派の時代背景が解るようなものを展示していて、音声で説明してくれる機械を持って歩きます。 日本語もちゃんとありました。
私の感想としては、ゆっくりまわったらなかなか楽しいんだけど、
時間がかかる・・・かな?(結構辛気くさい・・・とも言う)
時間が急いている方にはお奨めできないかも。

レリー城を出てゴッホの絵で有名な教会の前を通り、ゴッホのお墓参りへ。 逆光で、画像きちゃなくてごめんなさい。ここは午前中に来るべきね。
以前、「芸術新潮」のゴッホ特集でここの町が掲載されていて、 ゴッホが自殺した後のところで広々とした田園風景の写真が載っていました。
私がお墓までの道にある田園風景を見て思い出したのはその写真でした。
今朝は雨までぱらついていたというのにこの時は真夏のような太陽が照りつけて、 坂を登る足が自然と重くなっていきます。
私はゴッホの苦しい息づかいを想像しながらお墓までの道のりを歩いて行きました。
本当は彼が自殺した場所はレリー城の裏あたりらしいので、
ここを通ったとは思えないんですけれども、
あの掲載された記事がどうしてもインパクトあったものだから。
ゴッホのお墓は墓地の一番奥にあります。
他のお参りに来てらっしゃる方のご迷惑にならないように静かに入りましょう。
2つ並んだお墓のもうひとつは弟テオのお墓。
兄のことが大好きで、彼を金銭面で援助していた弟のテオは、
ゴッホの死んだ翌年に亡くなります。
最初は別な場所にお墓があったのですが、
テオの奥さんのはからいでここに移されたのでした。
ツタの葉だけが鮮やかな、とてもシンプルなお墓だけど、
彼の素朴さが伝わって、どんな立派なお墓より素敵に見えました。


都会はやりたいことが盛りだくさんで、そりゃー楽しいけど、
田舎はなんにもなくても、言葉では言い表せない心に残る風景を与えてくれます。
だから私は田舎を旅するのが好き!
みなさんも是非、自分だけの風景を見つけに田舎に足を運んでくださいね。


最後に哀愁のモモ。オーヴェル・シュールの駅にて。

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